クリエイティブノート

ニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションをはじめ、
優れたクリエイティブな世界をお届けいたします。
あなたの身近なところに歴史的にも優れたデザインやアートがきっとあるはずです。


ハンス・J・ウェグナー(デンマーク)

(1914年4月2日-2007年1月26日)

ウェグナーは、生涯500種類もの椅子をデザインしたデンマーク・モダン・デザインの代表的人物です。彼のデザインした椅子は、単に美しいだけではなく、とても座りやすく、
現代の椅子のひとつの基準を作り上げたと言えるでしょう。

「Yチェア」は、18世紀の中国の椅子からインスパイアされ、デザインされたもの。
名前の由来となる「Y字」の背とフレームのバランスがとても美しい椅子です。
機械化による大量生産で低コスト化を目指しつつも、職人の手をかけた、高品質の維持を追及した作品です。
使うほどに味が出て、生涯使い続けることのできる一脚です。

西欧のアートやデザインが多かったので日本のデザインを見直してみよう

和のデザインと感性

日本のデザインの創世記ルネッサンスが琳派であるとするなら、ミニマリズムデザインの極地が利休好みのデザインといえるのではないでしょうか。西欧から見れば神秘の国ジャパネスクの感性は、何も足さず・何も引かない言わばノーデザインと言えます。
色彩は中世の衣装と共通点を感じさせながら、日本特有の艶がある意匠です。

ジャスパー・ジョーンズ(アメリカ)

(1930年3月15日-)

北京オリンピックでは、さまざまな「国旗」が国の象徴として使われました。
その国旗をモチーフとした作品をご紹介することにします。
ジャスパー・ジョーンズの名前は知らなくても、アメリカの星条旗を描いた作品は
見覚えがあるのではないでしょうか?
ジョーンズは、星条旗をアメリカの現代都市のなかで最優位に位置する記号としてとらえ
絵画のモチーフとして選んだのです。国旗は誰が見ても一目でそれと分かる記号です。
日常で見慣れている「もの=記号」に、手を加えることにより、新たな視点で「国家=記号」を生み出したと言えます。この表現方法が「抽象」か、「具象」かは、見る人によって異なるでしょう。

私たちが通常見慣れている「記号」に別の「意思」を加えることにより、その作品を見る人によってさまざまな感情をもたらす状況、そのものがアートであり現代美術の面白さであるとも言えます。
私たちの身の回りにある、さまざまな記号を見直し、個人的感覚を加え、表現してみるのも楽しいかも知れません。

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最初は風景・樹木などを描いていましたが、自然の造形からインスパイアされ、抽象への表現へ進んでいきます。自然界の有様を彼独自の感性でとらえ、色彩と形を分割した表現を代表作に、水平と垂直の直線と、赤・青・黄の三原色のみを用いるというストイックな原則を貫いた一連の作品群が印象に残ります。

ピエト・モンドリアン(オランダ)

( 1872年3月7日アメルスフォールト - 1944年2月1日)

最近、メディアでも様々な現代美術作家が紹介されていますが、モンドリアンは、取り分け印象に残る作家ですね。美術の教科書で紹介されたのを記憶されている方も多いと思います。

キュビスムの作品に接して深い感銘を受け、1917年にはドースブルフと共に芸術雑誌『デ・ステイル』を創刊しました。ここで彼らの唱えた芸術理論が「新造形主義」と呼ばれるものでした。

今でこそ抽象画は身近なものになっていますが、見たままそのままを写し取ることが絵画であるとされる19世紀の時代に、このような表現を生み出したことは驚きです。ただ、作品はなかなか売れず、生活のために淡い色調で描かれた花などを描いては売っていたそうです。

新しいものを発想し、それを世に広めていくには、情熱と信念を持ち続けなくてはならないことを学び取ることができます。

1929年バルセロナ万博のドイツ館で、スペイン国王夫妻を迎えるため、この椅子がデザインされました。クロスするラインは剣を交差して力強い王位を象徴しています。
モダンデザインの傑作として知られるこの椅子は、80年も前にデザインされたとは思えないほど現代の空間に合うフォルムです。

ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(ドイツ)

(1886年3月27日アーヘン - 1969年8月7日シカゴ)

バウハウス第3代目のそして最後の校長となった、ミース・ファン・デル・ローエ。
“Less is more.” (より少ないことは、より豊かなこと)という概念のもと、近代主義建築のコンセプトの成立に貢献した建築家であり、その内部にあらゆる機能を許容するという意味のユニヴァーサル・スペースという概念を提示しました。
イリノイに週末別荘として建てられた、四方をガラス壁で囲んだファンズワース邸(1950年・アメリカ)も代表作のひとつであり、現在は、ナショナルトラストが所有し、ユネスコ世界遺産になっています。